第6話 植物の力

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こんにちは、吉田ウメです。

ぼくの妹、ななちゃんは、植物が好きです。

 

東京の街中で捨てられていたななちゃん。

道端の草木を思い出すのでしょうか、

いつもベランダの植物をながめています。

植物は、ななちゃんの大切な友達です。

 

数年前、マンションの外壁大規模修繕工事で、

ベランダにあるものすべてを

室内に移動する必要が生じました。

 

ななちゃんは大喜び!

ベランダにいた「緑のお友達」が、

大挙して室内にやって来たのですから。

ななちゃんと植物との会話が

聞こえてくるようでした。

 

ところが!

 

作業する方々に室内を見られたら

ぼく達が緊張するだろう、と考えた人間の家族は

カーテンを閉めっぱなしにしたのです。

・・・数ヶ月にわたって!

 

 

 

植物は、少しずつ茶色くなって行きました。

日光が絶対的に足りなかったようです。 

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ななちゃんは悲しみました。

いきいきしていた友達が、

ひとり、またひとりと倒れて行くのを

なすすべもなく、見守るしかなかったのです。

 

数ヵ月後、工事が終わって

ベランダから足場が撤去された頃には、

「緑のお友達」はわずか数人になっていました。

 

落胆して元気をなくしていた

ななちゃんのために、家族は、

2メートル近くあるオリーブの木を購入しました。

 

玄関から入って来たオリーブの木を見て、

ななちゃんは狂喜乱舞!

ガラガラになったベランダで

風に揺れるオリーブの木が、

ななちゃんを励ましてくれました。

 

そんな経験をしたせいでしょうか、

ななちゃんは、

ますます植物が好きになったようです。 

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